出エジプト28章・大祭司が身につけた12個の宝石

 

昔、幕屋で奉仕する大祭司は、エホバの指示に従って作られた特別の職服を身に着けました。大祭司の聖なる衣は、エホバの栄光と美を反映し、その胸掛けには宝石が飾られていました。(出エジプト28:2)


 祭司はターバンをつけていました。そして、格子じまの長い衣を着て、その上にそでなしの上着をつけ、その上にエフォドをつけ、エフォドの上に飾り帯を締めました。(出エジプト29:5)それらの衣は、金色、青色、赤紫色、緋色、白色で彩られた、色とりどりで華やかで美しい衣でした。


 そして、上着の上に胸掛けをかけました。そして、その胸掛けの上には、12個の宝石が並べられていました。宝石は、一列が3個で、4列になっていました。(出エジプト28:17)


その宝石は、新世界訳によると、1列目が、ルビー、トパーズ、エメラルドです。2列目が、トルコ玉、サファイヤ、碧玉、3列目が、レシェム石、めのう、紫水晶、4列目が、貴かんらん石、しまめのう、ひすいでした。
 
 それらの宝石はそれぞれどんなものだったのでしょうか。 エホバ神の麗しさを垣間見るために、それらの宝石について調べてみましょう。

 
(1)赤めのう(red agate)あるいは紅玉髄(carnelian カーネリアン)


 新世界訳では、一列目の一番目の石がルビーになっていますが、他の聖書翻訳では、紅玉髄(カーネリアン) (carnelian)になっています。元のヘブライ語は赤いという意味がありこの宝石が赤い宝石であることを示しています。


 ところで、啓示4章では、エホバ神が赤色の宝石red colored stoneで表されています。(啓示4:3)この赤色の宝石は、赤めのう、もしくは紅玉髄 です。また、新しいエルサレムの城壁の土台石の中にも、赤めのうが含まれています。この点は、新世界訳だけでなく口語訳も新改訳も新共同訳も赤めのうになっています。(啓示21:20)


 エホバ神と新しいエルサレムイスラエル人の大祭司を飾る宝石が共通であるのは道理にかなっています。ですから、大祭司を飾っていた赤い宝石もやはり赤めのう、つまり紅玉髄 であると考えるのが妥当だと思います。


赤めのうは、美しくて硬い上に容易に刻むことができ,また高度に研磨できるという特徴を持っています。このことは、エホバ神が、ルビーのように硬いというよりも、加工しやすい赤めのうや紅玉髄 のように謙遜で柔軟性がある方であることを示しているのではないかと思います。天的希望を持つクリスチャンはエホバ神に見習う必要があります。





New red agate pendant by topzhang (redagate2)



Carnelian Pendant with Serpentine and Cultured Pearls by TheNickster (carnelian7)
大祭司の胸にある宝石の第一番目は赤めのうもしくは紅玉髄という赤い宝石だと考えられます



(2)トパーズ


無色透明なもの、グレイ、ピンク、スカイブルーもありますが、黄色のものが高級品です。



Yellow Topaz ring by Somma (topaz4)
二番目はトパーズです―黄色が高級品です



(3)エメラルド


緑柱石(ベリル)で緑色透明のものです。



Emerald & Diamond Tiara by euthman (emerald2)
三番目は緑色のエメラルドです



(4)トルコ石


イランは、トルコ石のもっとも主要な産地でした。柔らかい石なので、彫刻したりするのに好都合です。スカイブルーから黄緑色をしています。この宝石を他の翻訳では、エメラルド、ザクロ石(ガーネット)と訳しています。



Turquoise – 36/365 by Jamiesrabbits (turquoise7)
四番目のトルコ石は柔らかく彫刻するのに好都合です


(5)サファイア


コランダムという鉱物の青色のものをサファイアと言います。



Star sapphire.jpg by docoverachiever (Sapphire3)
星の形の出たスターサファイヤは珍重されます



(6)赤しまめのう(サードニクスsardonyx)


 ここを赤しまめのうやダイヤモンドと訳している聖書もあります。新世界訳では碧玉(ジャスパー)になっています。しかし、ほとんどの聖書翻訳が、6番目ではなく12番目の宝石を碧玉と訳しています。


新しいエルサレムも赤しまめのうで飾られています。(啓示21:20)それで、大祭司の胸掛けの宝石のひとつが赤しまめのう(サードニクス)であるのは妥当ではないかと思います。赤しまめのう(sardonyx、サードニクス) は、縞目が紅色と白色に彩られています。



Image from page 174 of "History of Rome and the Roman people, from its origin to the establishment of the Christian empire" (1884) by Internet Archive Book Images (sardonyx5)
六番目の赤しまめのうは縞目を使って加工されます


新世界訳は、六番目を碧玉と訳していますが、新しいエルサレムで使われている赤しまめのうが大祭司の宝石のどれかである可能性は高いです。それは、六番目と考えるのが妥当でないかと思います。


 しかし、必ずしも大祭司の身に着けた宝石が新しいエルサレムを構成する宝石と完全に一致する必要はないと思います。しかし、両者にはかなりの共通点があるはずです。


 啓示の書でエホバ神を象徴する宝石が碧玉と赤色の宝石です。それで、碧玉と赤色の宝石が、新しいエルサレムにも大祭司の胸にもあると考えるのが妥当だと思います。

 
 それは、昔の大祭司も新しいエルサレムも、エホバ神の栄光を表さなければならないからです。また、昔の大祭司は、新しいエルサレムの祭司の仕事を予表していたからです。
    

 新世界訳では、ヘブライ語で赤いことを意味するヘブライ語の二つの言葉(オーデム; カドコード)を翻訳して、ルビーと訳しています。

それで、新世界訳では、大祭司の宝石には、赤めのうも赤しまめのうも訳出されていません。しかし、新世界訳では、新しいエルサレムには、赤しまめのうと赤めのうがあります。ですから、大祭司も赤めのうと赤しまめのうを身に着けているはずではないかと思います。


 なぜなら、啓示にエホバを象徴する宝石が赤色の宝石と述べられていることは、特定の宝石ではなく、複数の種類の赤色の宝石を示唆していると思います。それで、赤めのうも赤しまめのうも含まれていると考えるのが妥当でないかと思います。 
  


(7)ヒヤシンスhyacinth (ジルコンzircon)
 

この宝石はヘブライ語でレシェムで、どんな特定の石であったかは知られていません。この新世界訳では単にレシェム石と翻訳しています。他の聖書翻訳ではヒヤシンス石(ジルコンzircon)、トルコ石オパール、黄水晶(シトリン)と訳しているものもあります。


 私は聖書の整合性から考えて、ここはヒヤシンスではないかと思います。なぜなら、新世界訳では新しいエルサレムにヒヤシンス(hyacinth)が含まれているからです。(啓示21:20)


 wikiによると、無色透明のものは古くからダイヤモンド類似石として、装飾用宝石として用いられている そうです。


 他の宝石のサイトによると、ジルコンは青、緑、赤、黄、白でヒヤシンスとも呼ばれます。そして、ジルコンは地球上で最も古い物質だそうです。


宝石専門チャンネルGSTV



(zircon4)ジルコンは無色の他さまざまな色があります



(8)めのう


他の多くの訳も、めのう(agate)と訳しています。珪酸が結晶化したものです。メノウはありふれた鉱物で、世界各地で産します。メノウは、玉髄とともに、各種の彫刻材料として使われています。



Pink/Purple Misty Eye Formation Fire Agate by Different Seasons Jewelry (agate4)
8番目の宝石はめのうです



(9)紫水晶


石英で紫色のものをアメシストamethyst と言います。



Amethyst Cave 11 by travel oriented (Amethyst4)
9番目は紫水晶です



(10) 貴かんらん石(crysolite,peridot,olivine)


  これを緑柱石(beryl)、藍玉(らんぎょく・アクアマリン)、 黄碧玉 と訳す聖書もあります。 しかし、貴かんらん石は、他にもみ使いや新しいエルサレムに関連して出てくる宝石です。(エゼキエル1:16。ダニエル10:6。啓示21:20)ですから、貴かんらん石が大祭司の飾りに用いられているのは妥当だと思います。濃緑色のオリーブ色をしています。



Peridot_Ring1 by derrico_jewelry (peridot3)
10番目の宝石はオリーブ色をした貴かんらん石です



(11)しまめのう onyx


 縞瑪瑙(onyx、オニックス) は、平行な縞状模様があります。黒色と白色がきれいに層状になっているものは、古くからカメオ細工の材料として用いられています。縞を生かしたデザインにされる場合と、単色部分のみを用いたデザインにされる場合があります。


 ここを紅玉髄(carnelian)、赤しまめのう(サードニクス)、ラピスラズリ と訳している聖書もあります。



david-yurman-black-onyx-and-diamond by bbaunach (onyx4)
11番目の宝石はしまめのうです



(12)碧玉(ジャスパーjasper)


ここで新世界訳は、ひすいと訳しています。しかし、この語は多くの聖書が碧玉と訳しています。啓示の書の中で、エホバ神も新しいエルサレムも碧玉で象徴されています。(啓示4:3;21:11,18,19)それで、大祭司の場合も碧玉が用いられているのは妥当だと思います。


 不純物が混入しているため不透明で、不純物の違いによって、紅色・緑色・黄色・褐色など様々な色や模様のものがあります。



(jasper4)
碧玉は不純物の違いにより紅色を初めいろいろな色があります



 これらの宝石は中東で産出したのでしょうか。メソポタミアのジュエリーは瑪瑙・碧玉・紅玉髄(カーネリアン)・ラピスラズリなどの数多くの明るい色の宝石をあしらうことが多いそうです。


  これらの宝石は、エホバ神が創造されたものです。エホバ神が美的感覚を持っておられることをこれらの宝石は示しています。
 

私の印象としては、エホバ神の栄光を表す宝石は、必ずしも、ダイヤモンドのように硬い宝石ではなく、加工ができる美しい宝石であるということです。それで、天的希望を持つクリスチャンも、神の律法や原則を守りつつも変化する事態に対応するべきことを教えているのではないかと思います。


また、エホバ神は、霊的に美しい特質を評価されるでしょう。(コリント第一3:12,13)宝石は火のような試練や誘惑に耐えることのできる物質です。私たちも試練に耐える信仰や忍耐や辛抱強さという神の目に宝石のような霊の実を培っていきましょう。