啓示6章・主の日に全地を走り回る火のような色の馬

「また,彼が第二の封印を開いた時,わたしは,第二の生き物が,『来なさい!』と言うのを聞いた。すると,別の,火のような色の馬が出て来た。そして,それに乗っている者には,人々がむざんな殺し合いをするよう地から平和を取り去ることが許された。そして大きな剣が彼に与えられた。」(啓示6:4)


 啓示6章では、子羊が七つの封印で封印された巻き物を順々に開いてくると、白い馬、火のような色の馬、黒い馬、そして青ざめた馬が走り出します。最初に出てきた馬の乗り手には、冠が与えられます。これは、西暦1914年にイエスが天で神の王国の王権を与えられることを表わしています。


 続いて、主の日に火のような色の馬が全地を走り回ることが予告されていました。火のような色の馬とは何を表わしているでしょうか。


 火については「滅びに至るまで食らう火」、「『十分だ!』と言ったことのない火」、「むさぼり食う火の炎」と述べられています。(ヨブ31:12,箴言30:16、イザヤ29:6)ですから火の特徴とは大勢の人を滅びに至るまでむさぼり、食い尽くしていくものであることが分かります。啓示12章3節には悪魔サタンが「火のような色の大きな龍」として描写されています。それで、火のような色とは悪魔サタンと同じ特徴を持っていることが分かります。悪魔はほえるライオンのように歩き回って、だれかをむさぼり食おうとしていると述べられています。(ペテロ第一5:8)


 火のような色の馬に乗っている者は大きな剣を持っています。剣は戦いを表しています。(イザヤ3:25;21:15)大きな剣ですから、大規模な戦争を意味しているでしょう。


 ですから、「火のような色の馬」とは、悪魔サタンによって引き起こされた人間の戦争を意味しているのでしょう。確かに人間の戦争は、火が周囲のものを際限なく食い尽くしていくように、人間の命を幾らでも食い尽くして犠牲にし、滅びに至らせていきます。


 主の日の間には多くの大規模で激しい戦争が行なわれてきました。第一次世界大戦は、ドイツ・イタリア・オーストリア三国同盟とイギリス・フランス・ロシアの三国協商との対立で始まりました。1914年から1919年の第一次世界大戦では、およそ900万人の兵士が死に、民間人を含めると,死亡者は合わせて2,100万人に上りました。


 第二次世界大戦はドイツ・イタリア・日本の三国同盟アメリカ合衆国・英国・フランス・ソ連・中国などの26カ国からなる連合国側の対立で行なわれました。1939年から1945年にまで及んだ第二次世界大戦では,兵士と一般市民を合わせた死者の数は5000万人に上りました。なかでも、民間人の犠牲者は3400万人に達したと言われています。


 その後、1947年、1965年、1970年の印パ戦争、1950年から1953年の朝鮮戦争、1957年のハンガリー動乱、1961年から1973年のベトナム戦争、1948年、1956年、1967年、1973年の中東戦争、1969年から1998年の北アイルランド紛争、1979年から1988年のアフガニスタン侵攻、1979年から1988年のイラン・イラク戦争、1982年のフォークランド紛争、1991年の湾岸戦争、1991年から1999年のユーゴ紛争、2003年のイラク戦争がありました。ですから、大きな剣を持つ乗り手が乗った火のような色の馬が全世界を走り回っていることが分かります。


 朝鮮戦争では、南北朝鮮の兵士、民間人合わせた犠牲者は520万人に上りました。国連軍はアメリカ軍の約14万人を含む約15万人、中国軍は約90万人の犠牲者を出しました。ベトナム戦争では、第二次世界大戦の時の二倍の爆弾が米国によってベトナムに投下され、戦争の死傷者は民間人440万人以上、北ベトナム軍と解放戦線では230万人以上、南ベトナム政府軍では60万人以上、米軍の犠牲者は36万人以上と記録されています。合わせて犠牲者は766万人以上に上りました。


 確かに、主の日には、預言の通り火のような色の馬が全地を走り回っていたことが分かります。そして、このことは、白い馬とその乗り手が火のような色の馬の先頭に走っておられること、つまり、イエスが天で王として即位しておられることを証明しています。

(参考文献)

朝鮮戦争―原因・過程・休戦・影響 キム・ハクジュン 2006年 論創社

未来の平和のため過去を見直す―戦争が世界に残したもの― 長澤順治著 2006年 
(株)講談社出版サービスセンター

スパッとわかる現代史 米田均 村山良忠監修 2000年 ナツメ社