病気と上手に付き合う(2)―生活のコントロールを取り戻す

先回、「病気と上手に付き合う(1)−病気について知った時」をアップしました。今回、病気であることが分かったとしても、生活のコントロールを取り戻すために何ができるかということについて取り上げたいと思います。


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コントロールを取り戻す


病気について初めて知り、感情面での落ち着きを取り戻すにつれて,『どうしてこんなことが自分に起きたのだろう』などと思っていたのが,『こうなったからには,何ができるだろうか』と考えるようになることでしょう。この時点で,現在の状況から先に進むため,さらに幾つかの段階を踏むことができるでしょう。そうした点の幾つかについて考えましょう。


病気にどう対応するか自分で決める


状況をすべて変えられないとしても,病気にどう反応するかを今でも自分で決められる,という点を心に留めてください。イエスは、病気の人に医者が必要だと言われました。ですから、自分の病気に対して専門家である医者の意見を尊重することができます。しかしながら、専門家の意見を尊重しつつも、前向きに積極的に自分の治療と関わっていけます。


米国国立がん研究所のアイリーン・ポーリンはこう述べています。「病気にどう対応するかはあなたが決めることだ。病気がどんな影響を及ぼそうと,この権限はあなたのものである」。
多発性硬化症がかなり進んでいる70歳の女性ヘレンは,こう述べています。「落ち着きを取り戻せるかどうかは,病気そのものよりも,病気に対する当人の反応にかかっています」。長年にわたって障害と闘ってきたある男性はこう述べています。「積極的な態度は,船がひっくり返らないようにする竜骨のようなものです」。


医療の現場でも、インフォームド・コンセントセカンドオピニオンという言葉と概念が知られるようになりました。インフォームド・コンセントとは、医者が治療法を説明して、患者がそれに合意して納得した上で治療が行なわれていくという考え方です。セカンドオピニオンとは、担当医師の意見(ファーストオピニオン)に加えて、担当医師以外のその領域の知識や経験が豊富な専門医師の意見(セカンドオピニオン)を聞くことです。


医者は、「こうこうこういう治療法があります。こういう手術や治療を選べますよ」とアドバイスするだけであって、選択をするのは患者自身です。それで、医療機関に頼るとしても、ある診断や治療法が今のところ自分にとって最善であるという確信を持って、主体的に自分の治療法を選択できます。


箴言 18章14節もこう述べています。「人の霊は病苦に耐えることができるが,打ちひしがれた霊については,だれがこれを忍ぶことができようか」。打ちひしがれてしまわないならば、積極的な態度によって、病苦に耐えることができます。
自分の強い意志として、「自分は生きて、これをやらなければならない!」「今死ぬわけにはいかない!」という使命感を持つ患者のほうが治りやすく、また延命することが知られています。私たちの持つ病気に対する積極的な態度は、私たちの病状と精神状態を左右します。病気であっても、積極的で前向きな態度を持つ方法を考えましょう。



与えられた情況に順応し、無理なく達成できる目標を立てる。


病気であっても、できなくなったことを探すのではなく,やり方を変えればまだできる事柄を見つけることができます。聖書は、「むしろ各人は自分の業がどんなものかを吟味すべきです。そうすれば,他の人と比べてではなく,ただ自分自身に関して歓喜する理由を持つことになるでしょう。」と助言しています。(ガラテア 6:4)


クリスチャンの目標は「他の人と比べて」勝ることではありません。同じように長期的な病気を抱えていても,身体的および感情的な造りは人によって異なるので,他の人には達成できる目標でも自分にはできないことがあります。しかし、以前の自分と比べて勝ることができるならば、「ただ自分自身に関して歓喜する」ことができます。


ネットの情報によると、膠原病にかかっても、うまく日常生活を送り、上手に病気とつきあって、妊娠出産され子育てされている女性や、海外へ出掛けられる方が、大勢おられるとのことです。それで、病気になっても自分にあった前向きな目標を定めることができます。


人によって達成できる目標は異なるでしょう。「どんなに小さな目標に思えても,それを達成すれば,もっとがんばろうという気になります」と言うのは,オランダに住むレックスです。
レックスは20年以上前,23歳のときに事故に遭い,体が麻痺してしまいました。


その後,様々な理学療法をしていた時に,タオルで顔を洗うといった目標を定めるようしきりに勧められました。とても大変でしたが,できるようになりました。その目標を何とか達成できたことに気づくと,自分で歯磨きのチューブを開け閉めするという別の目標を立てました。それもやり遂げました。「簡単ではありませんでしたが,思ったよりも多くのことができるのに気づきました」と,レックスは言います。






自分でできる目標を立てる




このことはだれにとっても重要です。なぜでしょうか。目標を立てることによって将来に思いを向け,目標に達することによって達成感を持てるからです。ある程度自信を取り戻すことにもなるでしょう。与えられた情況に順応し具体的な目標を定めるようにしましょう。やり方を変えればまだできる事柄に注意を集中しましょう。


自分が無理なく達成できる目標を持ちましょう。例えば,『今日は聖書の一つの章を読むことにしよう』と心に決めるのはどうでしょうか。自分にとって現実的な目標を立てるようにしましょう。

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この記事は、目ざめよ2001年1/22号「病気と上手に付き合う−どのように?」を参考に作成されています。またネットの情報も参考にしています。次回は、「病気と上手に付き合う(3)−他の人との接触を保つ」をアップしたいと思います。



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