うつ病(4)−うつ病になりやすい考え方を修正する

うつ病になりやすいネガティブな考え方とは、どんな考え方でしょうか。

                           
                  ゆがんだ思考の型   


(医学博士デービッド・D・バーンズ著,「気分がよくなる―新気分療法」に基づく)


欠点が一つでもあれば,全部を捨てる: 物事を白か黒かの範ちゅうに入れる。自分の行なったことが完ぺきでないなら,自分を全くの敗北者とみなす。


極端に普遍化する: ただ一度の不本意な出来事を,絶えず繰り返す失敗の見本とみなす。例えば,友人と一度口論してしまうと,『自分は友人全部を失った。自分には何事もうまくゆかない』と結論することがある。


良いことも良いことと認めない: 良いことを経験しても,「大した事ではない」とか「自分はそれほどのことはしていない」とか主張して,それを認めようとしない。良くないたった一つのささいな点にこだわって,見方全体が陰気になる。


性急に結論を下す: 自分はある人に嫌われているという結論を独断的に下し,真実かどうかを少しも確かめようとはしない。あるいは,物事はいつもうまくゆかなくなると無条件に信じ込んでいる。


最大限もしくは最小限に評価する: (自分の犯した間違いやだれかの成し遂げた事柄など)事の重大さを過大視する。また,(自分の望ましい特質や他の人の不完全さなど)事をささいなこととして過小評価する。日常茶飯の不本意な出来事を悪夢のような災難とみなす。


自分への当てこすりと取る: 実際には自分に主な責任がないのに,自分を良くない外部の出来事の原因とみなす。
                     
                             認知行動療法


うつ状態にある人は、以上のような消極的な考え方をしていないか吟味することができます。ネガティブな思考パターンは、子供の頃から常に用いられているうちに、習慣化してしまうので、自分で思考パターンの歪みを発見し、矯正する事は容易な事ではありません。


うつ病を緩和する精神療法のひとつに認知行動療法があります。認知行動療法は、ネガティブな認知様式や行動様式が、うつ病という状態を維持し、強化してしまうという理論に基づいています。


認知行動療法は、カウンセラーと共に自分の消極的な傾向に気づき、修正していきます。うつ病に自分と共に真剣に向き合ってくださる人がいるというのは、ありがたいことです。


認知行動療法では、「自分は何をやっても駄目な人間だ」というような悲観的な認知の歪みを、修正するように精神科医うつ病患者を助けます。通常は週一回三ヶ月ほどカウンセリングを受けます。消極的な認知様式と行動パターンになってしまっていることを意識的に気づき、修正し、より現実的で建設的な認知様式、行動パターンに置き換えていくという作業を行います。


認知行動療法」は決してその人の性格の根本部分を変えるわけではありませんが、物事のとらえ方がネガティブになってしまう傾向に流されてしまわないようにして、うつ病によりよく対処する技術を身につけるように助けます。


調査によると、特に軽いうつ病の場合は、この認知行動療法は効果がありました。また、効うつ剤と併用して効果があった場合もありました。また、効うつ剤の投与が中止されるとうつ状態がぶり返す場合が多いのですが、「認知行動療法」などの精神療法は、幾分かの再発予防効果があるようです。



CRISIS counselling 2 by gallois
認知行動療法は考え方を変える助けをする



例えば、認知行動療法では、日常生活の活動記録をとることがあります。 うつ病にかかっている人は、そのネガティブな考え方から、1日を振り返ってみて「今日も何も良いことは無かった。何も成し遂げることはできなかったし、何をやっても楽しくなかった。」と思ってしまうものです。

しかし、何か行動をしたときに実際に記録をとって、すぐに「どれだけできたか」「どれだけ楽しめたか」という記録をつけてみるということを「課題」としてやってみます。 すると、意外なことに、日常生活のちょっとしたことの中で、何かは結構できていたり、それなりに楽しめてもいることに気づくことがほとんどです。こうして、「何も良いことは無い。何もできない。何も楽しめない。」は間違った考え方であり、あまりにネガティブに傾きすぎている受け取り方であることが分かってきます。 
              

            うつ病になりやすい考え方を修正する


聖書は「絶えず祈りなさい。すべての事に感謝しなさい。」と勧めています。(テサロニケ第一5:17,18)ですから、聖書は自分の生活に起きた良い事柄を認め、それを祈りのうちに神に感謝することを勧めています。そうすることは、生活に起きる残念なことばかりに注目するのではなく積極的な事柄に注目する助けになるでしょう。




Ethiopia by babasteve
感謝の祈りをすることは良い事柄に注目する助けになる



さらに、聖書はエホバ神が、人間の罪や欠点を見つめることをされないことを述べています。聖書は、「ヤハよ,あなたの見つめるものがとがであるなら,エホバよ,いったいだれが立ち得るでしょうか。あなたのもとには[真の]許しがあるからです。」と述べています。(詩編130:3,4)


神は、人間の罪を許してくださり、良い点に注目してくださいます。実際、聖書は多くの神の僕の良い特質に言及しています。エホバ神が人間の罪や欠点ばかりに注目されず、私たちの罪を許してくださるのですから、私たちも自分の罪や欠点にばかり注目するのではなく、神に罪の許しを求めた後は、自分の長所や成し遂げた事柄も、評価できるのではないでしょうか。


今回、次のサイトはとても参考になりました。
メディカルサイエンスエッセイ 寝椅子の下 第IV部 うまくいかない心うつ病編うつ病についての非常に多くの研究結果を調査しているサイトです。


次回は、「うつ病(4)−うつ病に伴うことのある身体症状」をアップします。


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