ヨハネ11章・イエスに関するユダヤの指導者たちの判断の誤り

「祭司長とパリサイ人たちは・・・こう言いはじめた。『この人が多くのしるしを行なうのだが,我々はどうすべきだろうか。彼をこのままほっておけば,みんなが彼に信仰を持つだろう。そして,ローマ人たちがやって来て,我々の場所も国民も奪い去ってしまうだろう。』」(ヨハネ11:47,48)


エスがラザロを復活させるという奇跡を行なった時に、ユダヤ人の祭司長とパリサイ人たちはエルサレムの高等法廷サンヘドリンを召集して,上記のように論じました。それで彼らはイエスが奇跡を行なったことは認めましたが、イエスの死者の復活という奇跡の背後に全能の神がおられるという重要な事実を見落としました。そして、ユダヤ人の宗教指導者たちは、物事を神を考慮にいれない人間的な見方で判断しました。ユダヤ人の宗教指導者の判断の通りになったでしょうか。


祭司長とパリサイ人たちは、ユダヤ人たちがみんなイエスに信仰を持つならばロ−マ人が攻めて来て土地も国民全体も奪い去ってしまうだろうという判断をしました。そして、その時、祭司であったカヤファはこう言いました。「一人の人が民のために死んで国民全体の滅ぼされないほうがあなた方の益になるということをよく考えていないのだ」と言いました。(ヨハネ11:50)ですから、その当時の祭司たちは、イエスが国家にとって危険な存在だと考えました。そして、イエスを殺すという決定は国民全体の益になると考えました。それで、イエスを捕えて杭につけて殺してしまいました。彼らの推論は正しいものでしたか。


Pieta - Death of Christ 12 by Waiting For The Word(jesusdeath)
ユダヤ人の宗教指導者たちは間違った判断をしてイエスを処刑した



彼らの判断は間違っていました。イエスは、弟子たちに剣をとって戦うものは、剣によって滅びると教え、剣を取ることのないように言われました。(マタイ26:52)ですから、イエスの教えは、ユダヤの人々がローマに対して、武装蜂起をしないように導くものとなっていました。また、イエスは「カエサルのものはカエサルに、しかし神のものは神に返しなさい」と言われ、カエサルに服して、税を払うようにと言われていました。(マルコ12:17)また、イエスカエサル人頭税を払うようにと指示していました。(マタイ17:24−27)


ですから、イエスは、ローマの皇帝に対して、つまり上なる権威に対しては、ご自分の弟子たちが、平和的に服するようにと教えていました。ですから、イエスイスラエル人がロ−マと平和な関係を持つ影響力になっていました。けれども、ユダヤ人の宗教指導者たちはそのように考えず、イエスを殺し、イエスの弟子たちも迫害し殺しました。そのため、ローマに服することを促す勢力がなくなりました。


エホバは、バビロンによってユダの二部族王国が滅ぼされてしまうまでは、ユダを支配する外国の勢力に対して軍事的に依存することのないようにと指示されていました。しかし、イエスの時代は、ユダヤは、ダビデの王統の王を失っていました。そして、ローマに任命された総督によって支配されていました。(マタイ27:11)


それで、一世紀になって、イエスはローマの皇帝に税金を払うようにと言われて、ローマの支配に応ずるようにと指示されたようです。もちろん、各々の時代、またその国の状況によって国家に対する神のご要求は異なってくると思います。それで、クリスチャンは、そのような政治的環境のもとで、ローマを軍事的に覆すことはせず、ローマから独立しようとはしませんでした。そして、ローマ政府に服しつつ、自由に宣べ伝えていました。


しかし、ユダヤは、何百年もの間、霊的に恵まれた立場にあったのに、神の子イエスや弟子たちを殺しました。イエスは、神に遣わされた方だったので、そうすることによって、ユダヤの指導者たちは、神の是認と保護を失いました。それで、神は、イエスを殺害した責任を、主にイエスをローマに訴えたユダヤに求められたようです。それで、ユダヤ人は自らロ−マに反抗して、イエスが殺害されてから37年後、西暦70年にロ−マ軍によってユダヤ国民全体が滅ぼされました。



The destruction of the Temple of Jerusalem.(Jerusalemad70)
ユダヤ人の間違った判断のためにユダヤは西暦70年に滅ぼされてしまった



さらには、ローマ政府の方は、ユダヤの宗教指導者からイエスについて訴えられた時に、イエスの処刑に手を貸しました。さらに、例えばネロの時代に、イエスの弟子たちを迫害しました。しかし、ローマはある程度はキリスト教を受け入れました。それで、神はローマの罪は、何百年もの間霊的に恵まれた立場にあったユダヤよりは軽いとみなされたのかもしれません。西ローマ帝国は、そのままおよそ四百年もの間存続することを許されました。しかし、西暦476年の皇帝ロムルス・アウグストゥルスは、ゲルマン人傭兵隊長オドアケルによって廃位され西ローマ帝国は滅亡しました。


(Romulus Augustus) Dutch Wikipedia, original upload 7 mei 2004 by CharlesS

Romulus Augustus resigns the Crown before Odoacer
Project Gutenberg's Young Folks' History of Rome, by Charlotte Mary Yonge
English Wikipedia, original upload by Panairjdde
ロムルス・アウグストゥルスオドアケルに帝冠を渡す
クリスチャンを迫害した西ローマ帝国は四百年存続して滅ぼされた



それで、イエスを裁いたユダヤ教の指導者たちは人間的な見方で判断して、大きな間違いをしました。彼らの判断は事実に基づいていませんでした。何よりも、神を考慮に入れない判断をしました。そのため、ユダヤは、ローマによって滅ぼされるという結果になりました。彼らの判断はかえって国益を損なってしまいました。それで、クリスチャンの処遇に関して神のご意志を考慮に入れた判断をなさるよう上なる権威の方々にお願いしたいと思います。


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