(12)道徳基準をもたれるエホバ神

 宗教は数多くあります。その神の中には、ヒンズー教の神シヴァのように破壊の神であったり、ギリシャ神話の神エロースのようにその崇拝者を乱交させるエロス愛の神がいます。また、アステカ神話の太陽神のように崇拝者から生けにえを求める神もいます。


 しかし、聖書の神エホバは、そのような神とは異なっています。エホバは、全宇宙を創造された唯一真の神です。(創世記1:1)エホバ神は、道徳基準を持っておられます。エホバはご自分の崇拝者にご自分の基準に従って生活することを求められます。


 エホバ神の主要な特質は、愛です。(ヨハネ第一4:8)その愛は男女間のエロス愛ではありません。


 神の愛とは、被造物の最善の益を求める無私のアガペー愛です。アガペーとは、新約聖書の中で、神の「愛」を表す語です。その愛は、神にとって大変貴重なものでさえも犠牲にする自己犠牲的な愛です。エホバは人類のためにご自分の最愛のみ子を犠牲にされました。(ヨハネ第一4:8,9)



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エホバ神は最愛のみ子を人類の永遠の命のために与えて自己犠牲的な愛を示してくださいました



そのようにして、エホバ神は自分が犠牲を払って他の人に愛を示す模範を示してくださいました。(ヨハネ第一4:9,10)


また、エホバ神は、ご自分の創造された太陽や雨や食べ物を人類に供給することによって、人々に寛大な愛を示す模範も示してくださっています。(マタイ5:45)



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エホバ神は太陽や雨や食物を与えて人類に寛大な愛を示してくださっています


エホバ神はご自分を恐れる人々が永遠に生き続けることを望んでおられます。(ヨハネ17:3。エゼキエル33:11)

神は、この事物の体制においても、基本的に人間が災いにあって命を失うのではなく、生き長らえることを望まれます。(ヘブライ10:38,39)


 神は、ご自分のしもべたちが、窮地に陥った時、何度も救い出されて、その点でも愛を示す模範を示してくださっています。例えば、新約聖書によると、一世紀のクリスチャンはユダヤ人から厳しい迫害を受けていましたが、その一人パウロも、危ういところを何度も奇跡的に救い出されました。


それゆえに、エホバ神は、ご自分が示された愛に見倣うよう求められます。(エフェソス5:1)イエス・キリストを通して、ご自分に信仰を持つ人々が愛し合うように求められています。(ヨハネ13:34)


また、エホバ神は、人間男女の造り主であられるので、人間の体の造りについて人間以上にご存知です。(詩編103:14)神は人間がどのようなおきてに従えば、幸福になれるかをご存知なので、そのおきてを人間に教えてくださいます。(詩編94:12)


 エホバ神は、結婚の取り決めを尊重することを求められ、結婚している人々だけに性関係を持つことを許されています。エホバ神は、最初の人間アダムとエバを創造され、ふたりを結婚させました。そして、ふたりが生涯「一体となる」こと、すなわち、性関係は配偶者だけに限り、結婚外の性関係すなわち淫行を行なわないように求められました。(創世記2:24)




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神はアダムとエバを結婚させてふたりが生涯忠実であり淫行を行わないように求められました


  そのようにエホバ神が、人間に一定の基準を守って生活することを求められるのは、神が人間の幸福を制限しようとしているからではありません。エホバ神は人間を初めとして万物を創造されたので、神の律法の範囲内で生活することが人間をさまざまな落とし穴や問題から守ることをご存知だからです。そして、人間がご自分の取り決めに従って生活することによって、基本的な身体的、感情的、性的必要が満たされて幸福になれることをご存知だからです。エホバは人間に「益することを教える」神であると述べられています。(イザヤ48:17)


聖書は、昔のイスラエル人が淫行に陥り、問題を抱えたことを記録しています。例えば、ディナは、カナン人のシェケムにレイプされました。ディナの兄弟たちはその事に対して憤りました。そして、兄弟たちはシェケムのディナの結婚に反対し、シェケムのシェケムの住む町の男たちを殺してしまいました。(創世記34:2-7,25-27)ですから、神の律法の違反が生じる時、さまざまな問題が人間の生活に引き起こされます。


次に、エホバ神は、人間に命を尊重することを求めておられます。正当な権威を持たない者が、正当な理由もなく他の人の命を奪うこと、つまり殺人を神は禁じておられます。弟アベルを殺したカインを聖書は「悪魔の子」と述べて非難しています。(ヨハネ第一3:10−12)


 エホバ神は、基本的に他の人の命を不当に奪うならば、その殺人者の命を求められます。(創世記9:5,6)それは、エホバは、命を貴重なものとみなしておられ、人間に対する愛ゆえに人間が安全に生き続けることを望まれるからです。



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聖書はアベルを憎んで殺したカインを悪魔の子と述べて非難している


同様に、エホバは過去にはなはだしく他の人間の命の血を流した「流血の都市」アッシリアの首都ニネベやバビロンなどの国家を処罰されました。(ナホム3:1,7)現代でも神は流血を行う国家を糾弾されます。それは、神は、人々がとりわけご自分を恐れる神の奉仕者が平和に生活し続けることを望まれるからです。


さらに、エホバ神は心霊術を禁じておられます。聖書は、占い者が占いを行なえるのは、悪霊の力によることを示しています。(使徒16:16)心霊術とは、悪霊に頼ってその力により、占いをしたり、魔術などの超能力をふるったりすることを意味しています。(申命記18:10,11)



Fortune Telling Stall by tom@hk | 湯米tomhk(fortunetelling2)
エホバ神は占いなどの心霊術に反対している


多くの人が死んだ人の霊と考えているのは実際には、神と敵対している悪霊たちです。悪霊たちは、義なる奉仕者、また光の天使のふりをしているので、悪霊たちに頼るならば、一時的に益を受けられるように見えるかもしれません。(コリント第二11:14,15)



Elderly couple with a young female spirit by National Media Museum (ghost2)
悪霊は死んだ人の霊のふりをして死んだ人が生きているかのように人々を欺いています−心霊術は悪霊と連絡を取ることになるので聖書は心霊術を禁じています



しかし、悪霊は大変残酷で、人間の福祉を望んでいるわけではないので、悪霊に頼るならば、さまざまな困難を経験することになります。また、最終的には、サタンと共に永遠の命を失ってしまいます。そのようなわけで、エホバ神は心霊術を禁じておられます。


神は、今挙げた淫行、殺人、心霊術を、禁じておられます。神が特定の事柄を禁じられるのは、人間が災いや苦しみを経験するのではなく、幸福に永遠に生き続けることを望まれるからです。エホバ神の律法の範囲内で生活すれば、私たちはさまざまな災い、心配、不安から守られます。また、エホバ神は、人間が隣人を自分自身のように愛することを求めておられます。(ローマ13:8-10)


聖書を深く学ぶことによって、エホバ神の基準を知ることができます。聖書の中には、多くの信仰の強い神の僕や、信仰の弱い人々、また、不信仰な人々の生活に起きたことが、記録されています。それらの人々に起きたことは、私たちの「教え」のために記されています。(ローマ15:4)それで、引き続き聖書を読んで、エホバが人間に求めておられる道徳基準について洞察を深められてください。