ポルノ―有害か無害か

以下の記事は目ざめよ!2003年7/22「ポルノ―無害か有害か」の記事からの抜粋です。

ポルノ―相反する意見
「それは抱いてはいけない欲求を生じさせ,飽くことのない欲望をかき立てる」。―トニー・パーソンズ,コラムニスト。

 ジョンは,“インターネット・セックス”に夢中になるつもりなど全くありませんでした。 ポルノや,セックスのチャットルームをうっかり見てしまった多くの人と同様,ジョンもある日,インターネットを使っていた時,そうしたチャットルームのサイトに偶然出くわしました。間もなく,サイバーセックスにすっかりはまってしまいました。


 こう言います。「妻が仕事に行くのを待ち,出かけるとベッドから飛び起きてコンピューターの前で何時間も過ごしたものです」。長時間に及ぶときは,食事も忘れて続けました。「空腹など全く感じませんでした」と言います。自分の秘密の行動について,妻に真実を隠すようになりました。職場では集中力に欠け,次第に偏執的になりました。結婚生活にひびが入るようになり,サイバーセックスの相手の一人と実際に会うことにした時,そのことを妻に知られてしまいました。現在ジョンはサイバーセックス中毒の治療を受けています。


 反ポルノ活動家は,ポルノが退廃的な影響を及ぼす証拠として,こうした経験を挙げます。ポルノが人間関係を破壊し,女性を卑しめ,子どもを虐待し,性に対する倒錯した有害な見方を生じさせる,と述べます。一方,支持者たちは,ポルノを自由な表現であるとし,批判する人たちを堅苦しいとみなします。(省略)


 どうしてこれほど広まっているのでしょうか。ポルノは本当に危険な気晴らしですか。続く二つの記事で,その点を取り上げます。

インターネット・ポルノの実態

■ インターネット・ポルノは,約75%が米国から,15%近くがヨーロッパから発信されている。

■ ポルノのウェブサイトを見る人は1週間に約7,000万人と推定されている。そのうち約2,000万人はカナダと米国に住む人たちである。

■ ある調査によると,最近の1か月間に,ヨーロッパでオンライン・ポルノへのアクセスが一番多かったのはドイツで,英国,フランス,イタリア,スペインがそれに続く。

■ ドイツでのインターネット・ポルノの利用者は毎月平均70分を,そうしたサイトに費やしている。

■ ヨーロッパの50歳以上のインターネット・ポルノ利用者は,接続しているほとんどの時間,アダルト向けウェブサイトを見ている。

■ ある情報筋によると,インターネット・ポルノへの接続の70%は日中に行なわれている。

■10万件のインターネット・サイトが児童ポルノを扱っていると推定されている。

■インターネット上の商業児童ポルノは,80%が日本から発信されている。


ポルノが大人に及ぼす影響


 その擁護者たちが何と言おうと,ポルノは,性と性行動に対する人の見方に少なからずマイナスの影響を及ぼします。全米家族研究教育財団の研究者たちは,「ポルノにさらされると,性的異常になる危険が増す」と結論しています。報告によると,「レイプ神話(女性はレイプの原因を作り,レイプを楽しむのだから,レイピストは異常ではないという考え)は,習慣的にポルノを見る男性の間に非常に広がっている」ようです。


 ポルノを何度も見ると,正常な夫婦関係を楽しんだり営んだりするのに障害となりやすい,と述べる研究者もいます。セックス中毒の治療を専門とするビクター・クライン博士は,ポルノを繰り返し見るようになる相互連鎖を発見しました。偶然ポルノを目にすることから始まり,それが抑制されないと,やがてもっと露骨で変質的なものへとエスカレートします。それが異常な性行動へとつながる,と博士は述べています。行動科学の研究者たちもその点を認めています。


 クライン博士は,「どんなタイプの異常な性行動もこのようにして身に着いてしまうことがあり……強い罪悪感が伴ってもやめることができない」と言います。やがて,ポルノに基づく不道徳な空想を実行に移そうとするようになるかもしれません。そして多くの場合,悲惨な結果になります。


 クラインは,この問題は徐々に起こって気づかないこともあると結論し,次のように言っています。「それは,がんのように増え広がってゆく。快方に向かってゆくことはめったになく,治療や治癒が非常に困難である。男性の中毒者が自分には問題がないといった態度を取り,問題に正面から取り組もうとしないことは,一般的また予測可能な反応であるが,これは必ずと言ってよいほど夫婦やカップルの不和につながり,離婚に終わったり,他の親密な関係が損なわれたりすることもある」。
(省略)

霊的な害


 ポルノは霊的に重大な害をもたらします。神との関係を求めている人にとっては大きな障害です。 聖書は,性的欲情を強欲や偶像礼拝と結びつけています。(コロサイ 3:5)何かを強く渇望して,それが生活を支配するまでになるなら,他のすべてのものは色あせてしまいます。ですから,ポルノに夢中になっている人は自分の性的欲望を神よりも高め,こうしてポルノを崇拝していることになります。エホバ神の命令はこう述べています。「あなたはわたしの顔に逆らって他のいかなるものをも神としてはならない」。―出エジプト記 20:3。


 ポルノは愛情に満ちた関係を破壊します。自らも既婚者であった使徒ペテロは,クリスチャンの夫たちに,妻に誉れを配するよう勧めました。そうしない夫は,神への祈りが妨げられるでしょう。(ペテロ第一 3:7)女性のみだらな画像をひそかに見ることは,妻を誉れある仕方で扱うことになるでしょうか。妻が知ったなら,どう感じるでしょうか。また,『あらゆる業を裁かれ』,「霊を見定めておられる」方である神は,どうお感じになるでしょうか。(伝道の書 12:14。箴言 16:2)ポルノを見る人は,神に祈りを聞いていただけると期待できるでしょうか。


 何が何でも利己的な喜びを追求するのがポルノの特徴です。ですから,ポルノを見ることは愛に反することです。貞潔さや神のみ前での清い道徳的立場を保とうとするクリスチャンの闘いを弱めてしまいます。使徒パウロはこう書いています。「これが神のご意志であるからです。すなわち,あなた方を神聖なものとし,あなた方が淫行を避けることです。そしてあなた方一人一人が,自分の器をいかに聖化と誉れのうちに所有すべきかを知り,……貪欲な性欲のままに歩まないことです。また,だれもこの点で兄弟の権利を害するようなことをせず,またそれを侵さないことです」。―テサロニケ第一 4:3‐7。
(省略)


ポルノの習慣を断つ


 現在ポルノ中毒の悪習と闘っているならどうしたらよいでしょうか。それを断ち切るために行なえることがあるでしょうか。聖書は希望を与えています。初期クリスチャンの中にも,キリストを知る前には,淫行の者,姦淫をする者,貪欲な者もいました。「しかし,あなた方は洗われて清くなった」とパウロは述べています。どうしてそれが可能だったのでしょうか。パウロはこう答えました。『あなた方はわたしたちの神の霊をもって神聖な者とされたのです』。―コリント第一 6:9‐11。


 神の聖霊の力を決して小さく見てはなりません。『神は忠実であられ,あなた方が耐えられる以上に誘惑されるままにはされない』と,聖書は述べています。実際,神は逃れ道を備えてくださいます。(コリント第一 10:13)熱烈に祈る―絶えず神に問題を打ち明ける―なら,良い結果が得られるでしょう。神の言葉はこう勧めています。「あなたの重荷をエホバご自身にゆだねよ。そうすれば,神が自らあなたを支えてくださる」。―詩編 55:22。


 もちろん,祈りと調和して行動する必要があります。ポルノを退けるには,心からの固い決意が必要です。信頼できる友人や家族は,あなたが決意を貫くのに必要な支えや励ましを与える面で,計り知れない助けになってくれるでしょう。そのように行動すれば神に喜んでいただける,ということを忘れないなら踏みとどまる助けになります。(箴言 27:11)さらに,ポルノを見るなら神の不興を受ける,ということを知っていればあきらめないよう助けられることにもなります。(創世記 6:5,6)容易な闘いではありませんが,それに打ち勝つことはできます。ポルノの習慣は断ち切ることができるのです。