イザヤ9章・イエス・キリストは神ですか(新改訳)

「ひとりのみどりごが、私たちのために生まれる。ひとりの男の子が、私たちに与えられる。主権はその肩にあり、その名は、『不思議な助言者、力ある神、永遠の父、平和の君』と呼ばれる。」(イザヤ9:6)
 

 イザヤ9章6節は、イエスについて預言していました。この聖句の中で、イエスが力ある神と呼ばれていることは、イエスが神と同一であることを意味していますか。

 
 しかし聖書の中では,み使いや人間、偽りの神々、サタンなども「神(々)」と呼ばれています。たとえば、ヘブライ2章7節は、詩編8編5節を引用していますが、そこには、ヘブライ2章7節の中で、「御使い」となっている語は、詩編8編5節で「神」となっています。


 詩編82編6節の中では、不公平な裁きを行なう人間が「神々」と呼ばれています。また、出エジプト12章12節では、偽りの神々が「神々」と呼ばれていますが、彼らは真の神ではありません。また、 コリント第一 8章5節でも、偽りの神々が「神々」、多くの「神」と呼ばれています。コリント第二 4章4節では、サタンがこの世の「神」と呼ばれています。

 
 ヘブライ語聖書において,「神」にあたる言葉「エール」には,「力ある者」,「強い者」という意味があります。ギリシャ語聖書中のこれに相当する言葉は「テオス」です。それで、御使いや人間や偽りの神々、サタンも神すなわち力ある者、強い者と呼ぶことができます。しかし、神と呼んだからといって、エホバ神と同一であることを意味しているわけではありません。


 ですから、同様にイザヤ9章6節で、イエスが「神」呼ばれていても、そのことは、イエスがエホバ神と同一であることを意味しません。

 
 さらにイザヤ 9章6節で用いられているヘブライ語の単語は,み子とみ父の間の明確な区別を示しています。その部分でみ子は「力ある神」,「エール ギッボール」と呼ばれており,「全能の神」と呼ばれてはいません。ヘブライ語で「全能の神」という言葉は「エール シャッダイ」と言い,エホバ神にのみ用いられています。イザヤ9章6節は三位一体を裏付けてはいません。

 
 エホバ神だけが全能の神であり、イエスは力ある者、強い者という意味で、神のような方ですが、全能の神エホバと同等の全能の力を持つ神ではありません。イエスは「神」と呼ばれていても、エホバ神とは別の人格的存在です。