箴言25章・王たちの栄光は秘められたことを徹底的に調べる

「神の栄光は事を秘しておくことであり,王たちの栄光は事を徹底的に調べることである。」(箴言25:2)


 聖書は、「王たち」に対して助言を差し伸べています。同じ箴言の中で、「王たち」とは、人々を治め、法律を制定して発布する人たちです。(箴言8:15)ですから、箴言25章2節の助言はまず第一に、人間の政府の政治支配者たちに差し伸べられています。


神は事を秘しておかれることがあります。神はどのようにそうされますか。また、「王たちの栄光は事を徹底的に調べることである」とは、どのようにすることを意味しますか。


エホバはみ言葉の理解を秘しておかれることがあります。昔預言者ダニエルはその当時自分に与えられた預言の意味を理解することができませんでした。(ダニエル12:8)ダニエルは「終わりの時までこれらの言葉を秘し(ておくように)」と言われました。(ダニエル12:4)エホバは、ダニエルに与えた預言の意味は「終わりの時」まで、理解されないように秘しておかれました。(ダニエル8:26)しかし、「終わりの時」には、多くの者が研究することによって聖書の「知識」は「満ちあふれる」ことになっていました。(ダニエル12:4)


徹底的に調べることが、「王たちの栄光」であるとは、何を意味するでしょうか。ヘブライ語聖書の中で最も多く「栄光」と訳されている語はカーヴォードで、基本的には「重いこと」という意味があります。カーヴォードに相当するギリシャ語はドクサで、「意見、評判」や、「声望」または「誉れ」という意味があります。ですから、聖書の中で、「栄光」がもたらされるとはその人に良い評判や誉れがもたらされてその人の価値が重くなることを意味しているでしょう。上位の権威にある人が事を徹底的に調べるなら、良い評判や賞賛を受け、その人の価値が高まるという良い結果になることを聖書は示しています。


バビロンの王ネブカドネザルは、ダニエルから聖書の預言の説明を受けました。ネブカドネザルは、将来世界がどうなるかに関心があり「これから後に起きる事柄について思い巡ら(していた)」と述べられています。(ダニエル2:29)それで、エホバはそれに応じて、将来の世界がどうなるかを示す預言的な夢を王に見せました。(ダニエル2:1)ネブカドネザルは、その意味が分かりませんでしたが、ダニエルは神の助けを得てその夢の説明をしました。(ダニエル2:28,30)ネブカドネザルは、エホバを「神々の神、王たちの主,秘密を明らかにされる方」であると認めました。(ダニエル2:47)



Ishtar Gate of Babylon, Building inscription of King Nebuchadnezzar II by Tilemahos Efthimiadis(Nebuchadnezzar 2)
バビロンのイシュタル門−ネブカドネザル二世の名前の彫り物がある


ネブカドネザルは、その時代、聖書の預言に調和して行動しました。それで、エホバはネブカドネザルを「わたしの僕」と述べられています。(エレミヤ27:6)ネブカドネザルが、ユダのエルサレムを攻撃したのは、神のご意志にかなっていました。それで、彼は成功しました。


また、ペルシャの王キュロスも、預言者ダニエルからの聖書の預言の説明に耳を傾けたようです。キュロスの名前は、聖書の中で預言されていました。それで、彼は自分の名前の記されているイザヤ書などの預言の書を読んで、徹底的に調べたでしょう。(イザヤ44:28;45:1)その結果、キュロスは、エホバの存在を知っていましたし、聖書の預言に調和して成功裏に行動することができました。そして、キュロスはエホバの神殿が再建されるように協力しました。(エズラ1:2)


キュロスは聖書の預言を徹底的に調べた結果、神の助けと支持を得、また、自分の支配を受けている者たちに対して益となる賢明な決定を下すことができました。また、キュロスは、バビロンを倒す点で成功し、エホバ神の神殿の土台を据えるのに貢献した王としての誉れを得ました。



Cyrus the great monument at Sydney Olympic Park
Siamax derivative work: Xashaiar (talk) : Olympic_Park_Cyrus.jpg 編集者: Xashaiar (cyrus)
シドニーオリンピックパーク・キュロス


キュロスが、イスラエル人に寛大な処置を取って神殿の再建を許したことは、後のペルシャの王たちによっても尊重されました。バビロンから帰還したユダヤ人は、エホバの家を再建しようとしました。周辺の諸国民がそれに反対しました。問題は、ペルシャの王アルタクセルクセスに持ってこられました。彼は、調査を行ないましたが、その調査は徹底的なものではなかったので、事実を十分見極めることができず、彼は神殿の再建の中止を命令しました。(エズラ4:19,21,24)


しかし、ユダヤ人は再び神殿の建設に取り組みました。近隣の総督たちは、再びそれに反対して、ユダヤ人が行なっている事がキュロスの命令によるものなのか、今度はペルシャの王ダリウス一世に「調査」をお願いしました。(エズラ5:17)それで、ダリウスは、ユダヤ人によるエホバの家の再建が合法的であるかどうかを公文書から「調査を行ないました。」(エズラ6:1)その結果、確かにペルシャの王キュロスがエホバの家の再建を命じたということを見出しました。そして、ユダヤ人が反逆を企て、税を払おうとしないという中傷が偽りであることを正しく判断できました。それで、ダリウスは税から資金を出してエホバの家の再建を援助しました。(エズラ6:1,2)


ダリウスは物事を徹底的に調べた結果、偽りに惑わされることなく、公正な判断を下して、エホバの神殿の再建を助けた王としての誉れを得ることができました。



درفش کاویانی Relief of Darius in Persepolis(Darius3)
ペルセポリスのダリウスの浮き彫り


それで、今日、南の王であっても、北の王であっても、またそれ以外の地の王たちであっても、聖書の預言を徹底的に調べることによって益を受けられます。また、聖書の預言が成就しているかどうか事実を調べることができます。そして、聖書の預言に調和して行動するなら、国家にとって最善の賢明な決定を下すことができます。


聖書は、イエス・キリストが「多くの国の民を驚かす」と述べています。イエス・キリストは、一世紀に死んだのではなく、天に復活させられ、この終わりの時も活動しておられます。そして、イエス・キリストの預言は、「終わりの時」に成就しています。それで、「王たち」も、驚かされ、今まで、詳しく知らなかったことを「考慮しなければならない」と述べられています。(イザヤ52:15)それで、以前にどんな宗教を持っていたとしても、聖書の預言についてそれまで詳しく知らなかったとしても、広い心で聖書の預言を徹底的に考慮するなら益を得られます。

聖書は、「邪悪な者は不遜にも調べることを(しない)」と述べています。(詩編10:4)しかし、不遜にも調べないということは、決して良い結果をもたらしません。反対に、聖書は、「霊的な人は実にすべての事柄を調べます」とあります。(コリント第一2:15)

この終わりの時には聖書の預言が解明されることになっています。政治の権威のある人々は、とりわけ聖書の預言や世界情勢や社会情勢について「徹底的に調べる」ならば、「洞察力を働かせ」、国家にとって賢明な判断を下す助けを得られるでしょう。(詩編2:10)


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