エゼキエル28章・悪魔サタンの正体

「あなたは知恵に満ち,美しさの点で完全であり,ひな型に封印する者。あなたは神の園であるエデンにいた。・・・あなたは覆うことをする油そそがれたケルブであり,わたしがあなたを置いたのである。神の聖なる山にあなたはいた。・・・創造された日からあなたのうちに不義が見いだされるまでは,あなたはその道においてとがのない者であった。」(エゼキエル28:12〜15)


 エゼキエル28章には、古代のティルスの王を通して、悪魔サタンに対するエホバ神の宣告があります。そのみ使いは、ケルブであったと述べられています。ケルブとは、詩篇99編1節にも、「[神]はケルブたちの上に座しておられる。」とあるように、エホバ神に直近の地位の高いみ使いです。


 聖書歴史の時代には、王に儀式上の油そそぎを行ないました。それで、油そそがれた者とは、何らかの高い立場に任命された者であることを意味しました。(裁き人 9:8)それで、悪魔サタンとなったケルブは、油そそがれたケルブですから、エデンの園で何らかの高い立場に任命されていたのでしょう。


 そのケルブは、神の聖なる山にいたとあるように、最初は罪のない忠実なみ使いとして創造されていました。ですから、最初は、神の聖なる天の組織の成員でした。そして、最初は何もとがのない者でした。そのケルブは、知恵に満ち、美しさの点で完全であったと述べられています。それで、そのケルブは、非常に賢く、美しいみ使いでした。


 しかし、ギリシャ語の「悪魔」ディアボロスには、「中傷する者」という意味があります。「サタン」という語には、「抵抗者」または「反抗者」という意味があります。彼は、エデンの園で、エバに近づいてエホバを中傷し、エホバに背かせることによって自分で悪魔サタンとして行動しました。


 イエスは悪魔について、「その始まりにおいて人殺しであり,真理の内に堅く立ちませんでした。・・・彼は偽り者であって,[偽り]の父だからです。」と述べています。(ヨハネ8:44)
それで、悪魔は、エデンの園において蛇を操ってアダムとエバが死ぬように仕向けました。そのようにして、悪魔は、始まりおいて人殺しとなりました。彼は、エホバの言葉に関して中傷となる偽りを語り、すべての偽りの発端となり、偽りの父となりました。


 エゼキエル28章には、さらに悪魔サタンが罪を犯す原因になった特質が明らかにされています。また将来、悪魔サタンがどうなるかも明らかにされています。


 「覆うことをするケルブよ,わたしはあなたを汚れた者として神の山から出し,あなたを火の燃える石の中から滅ぼすであろう。あなたの心はあなたの美しさのゆえにごう慢になった。あなたはその輝かしい光輝のゆえに自分の知恵を滅びに陥れた。」(エゼキエル28:16,17)


 それで、そのケルブが罪を犯した原因は、自分の知恵や美しさ、またその高い地位のゆえにごう慢になったためでした。そのごう慢さのために神の立場に立ちたいという欲望を持つようになったのでした。(エゼキエル28:2) エデンの園で、そのケルブは、アダムとエバやその子孫から崇拝されたいと思うようになったのです。そして、そのケルブは、悪魔またサタンとして行動したため、滅ぼされることになっています。


 エゼキエル28章の悪魔サタンとなったケルブに対する神の宣告は、自分の知恵や美しさ、また高い地位のゆえにごう慢になるなら、エホバに反逆することになり、滅ぼされてしまうことの警告となっています。